目の前に映る
 風景は 赤い色。

 

   生々しい吐息。
   這い回る虫けら。
   ざわめく予感。
   届かない指先。
   ここは地獄。

   目の前に映る風景は
   赤い血で染まっている…。

   向日葵の匂い。
   君の笑い声。
   眩しい日差し。
   透けるような青。
   それこそが楽園。

   楽園へ続く風景は
   いま、
   赤い血で染まっている…。

 

 

 神さま、
 僕らは正しいことをしていますか?

 

  子供は 僕に怯える。
  いや、正しく言えば
  向けられた銃に怯えている。

  子供は、真っ直ぐに僕を見る。
  目の中に僕の姿が微かに見えた。

 

  ごめん。
  この子は何も悪いことはしていない。
  うん、知っている。
  でも、どうしようもない。
  幸せになりたいんだ。
  自由になりたいんだ。

  だから。

  僕は汗ばむ手で引き金をひいて…。

 

  「死んでくれ  僕らのために」

 

 

 

 幸せとは
  何処にあるのでしょう?

 

   この行為の先に幸せがある。
   僕らはそう信じ、血を流す。

   悲しみや憎しみが溢れだしていることに
   気づきもしないで。

   神さま、幸せは何処ですか…。

 

 

 幸せとは
  何だったでしょう?

 

   僕らが幸せだと感じた時、
   彼らは幸せだと感じるんだろうか。

   彼らが幸せだと言う時、
   僕らも同じく笑っているんだろうか。

   神さま、幸せって何だったっけ…。

 

 

 

 足元に咲く名無しの花。
 この場に相応しくない美しさ。

 

   もう、止めよう。
   
   そう、気づいてしまった。

   こんなことは、間違っている。馬鹿げている。

   この美しい花を

   抜くことも、踏みにじることも、奪うことも、

   してはいけない。僕はこの花を綺麗だと思う。

   この感覚のまま生きてゆきたい。

 

 

 

 誰と争っているんだろう。
    何と戦っているんだろう。

 


 忘れてしまった…。

 


 何もかも……。

 

 

   横たわった物体。
   多分 僕の抜け殻。

   守りたいものがあった。
   確かにあった。
   それが何だったのか、
   今の僕には思い出せない。

 

   弾丸が残った体。
   確かに 僕の残骸。

   守りたいものがあった。
   大切なモノが。
   きっと思い出すはず、


   守りたいものがあった。

   生き続けたいと思った。

   還りたいと願った。

 

   それから…それから…




   嗚呼 そうだ…。

   思い出した。

   君だ…。




   君に会いたい…。

   守りたいものは、

   君の…全て…。君に会い…たい…。

 

 

 

 

 薄れる記憶の中で
 最後に見えたもの
 

 それは 間違いなく 

  君の姿…

 

 

   ねぇ…僕は本当に、

   君を、守っていたのかな…

   ねぇ…この行為の先に、

   幸せが…本当に、あるのかな…

   ねぇ…流れた血に、

   意味は…あるの…か、な

 
   ねぇ…君、は…


   汚れた、僕の手を…見て、


   何と…言う、の、かな……。

 

 

 

 

 

 

 

  神さま、

  僕は世界のために祈ります。

  僕たちはこの争いを

  やめなければいけません。

  この戦争を……

 

 

 

 

マティ・ステパネク詩集引用。

世界が平和で満ちますように…。

 

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